トレッキーには悲しい週となりました。2月27日、スタートレック、ミスタースポック役のレナード・ニモイ氏が亡くなりました。日本ではなぜか「スポック船長」という人が多いのが謎なんですけど、スポックは船長じゃなくてエンタープライズ号技術主任兼副長です。スタートレックは差別や環境問題、戦争や薬物など、様々な社会問題をSFの世界観を通して見せるドラマ、現在でも大変な人気です。ドラマシリーズは現在お休み中ですが、映画は今も作られています。
ミスタースポックはスタートレック全シリーズを通して、初の異星人(バルカン人)レギュラーです。スタートレックシリーズで異星人レギュラーというのは私たちが知るスタートレックではとても普通のことだけど、最初のシリーズである「宇宙大作戦」(原題:Star Trek、通称TOS)が作られたのは今から約50年前、SFドラマとはいえ、異星人がレギュラーで主要な役柄をこなすのは問題ありと局側はミスタースポックをレギュラーから外すようにと要求したという。また、当シリーズはアジア系、黒人女性などをレギュラーに据え、23世紀、差別がなくなった時代を描いている。新スタートレックで民間人としてエンタープライズ号に乗り込んでいたガイナン役のウーピー・ゴールドバーグはスタートレックを見て、黒人女性でも女優になれると演劇の道を進んだというのは有名な話。また、ヒカル・スールー演じるジョージ・タケイ、彼もまたアメリカで、アジア系俳優がレギュラー出演した初の人物です。50年前のアメリカでこのレギュラー陣を実現したのはとても意義のあることだったと思う。
バルカン人の特徴は超論理的思考力、超論理的言動、無感情、力持ち(要するにフィジカルもメンタルも強い)。我々地球人が持たないものを全て持っています。スタートレック全てのシリーズ通して、バルカン人のレギュラーというのはとても人気があります。ひ弱で感情的な地球人が持っていないモノを全て持っているからね。だけど、もともとバルカン人は感情豊かで情熱的。それを押さえ込んで生きて行く種族なので、度々自己の感情とバルカン人としての論理的思考とのぶつかり合いを描くんです。そうか、誰も完璧な人なんていないんだな。バルカン人でさえ。ひ弱で感情的な地球人である私は何度そう思ったか。私のお気に入りはバルカンピンチというバルカン人の得意技、なんか首の後ろの秘孔を突くと一瞬で気絶する技。大体のヒューマノイド系種族に有効。そして何と言ってもあのポーズ。バルカンサリュートと呼ばれるバルカン式挨拶です。「長寿と繁栄を」と言って人指し指と中指・薬指と小指をくっ付け、中指と薬指の間と親指を開いて手のひらを見せるあのお馴染みのポーズです。トレッキーならもちろんのこと、他のSFドラマ、映画、CM、アニメ、アメリカではありとあらゆる媒体で見聞きするポーズです。パロディやトリビュートには止まらず、講演会やなどで講演の最後に必ずやる先生達も大勢います。数えれば枚挙にいとまがないでしょう。このポーズを始めたのは、ミスタースポックその人でした。
私は新スタートレックからの熱心なファンで、宇宙大作戦や映画スタートレックに関しては熱心には見ていません。なのでミスタースポックのことあまり詳しくは知りません。とはいえ、スタートレックを知る上で、スポックを含むオリジナルシリーズクルーを決して避けて通ることはできません。どのシリーズのどの艦長も、どのシリーズのどの副長も、どのシリーズのどのバルカン人も、どのシリーズのどの技術士官も、かならずスポックに言及するからです。(スタートレックエンタープライズは一番最近のシリーズですが、宇宙大作戦より前の時代を描いてるからスポックについては言及されてないかも)つり上がった眉毛とパッツン前髪、そして尖った耳が特徴のバルカン人(と地球人のハーフ。そして私はバルカン人に似てるとよく言われる(爆))。ミスタースポックはIcon of Startrekスタートレックの象徴と言われています。スタートレックの象徴であるミスタースポック、レナード・ニモイが亡くなった・・・。
長く続く映画を含むテレビシリーズにおいて、50年前のオリジナルキャストが現在でも作品に関わり続けるということはアメリカ(ハリウッド)では本当に難しいことだと思います。それを実現できた背景の一つは、やはり宇宙大作戦がアメリカでとても長い間人気があること、それら俳優たちの功績が現在のハリウッドでも重んじられていることがあると思う。その証拠に、レナード・ニモイ死去の報を受け、ホワイトハウスオバマ大統領 や、NASAアメリカ航空宇宙局もミスタースポックに哀悼の意を表しています。
長寿と繁栄を。ミスタースポック、安らかに。
Rest in Peace. Lived long and Prospered, Mr. Spock and Leonard Nimoy(1931 - 2015).